手軽に4K/HDMIをワイヤレス化! j5create「JVAW75」を試してみた

5月 16 2024 – Wade Chen

手軽に4K/HDMIをワイヤレス化

通信/接続はワイヤレスが当たり前の時代、音声や静止画を「キャスト」したり「エアプレイ」したりする機会が増えた。しかし、それはデバイスがGoogle CastやAirPlayといった規格に対応していることが前提で、スマートフォンやPCでの話。基本的に、Google/Appleプラットフォーム外のデバイスは蚊帳の外だ。

映像周りに関していえば、汎用のデバイスでもワイヤレスHDMIエクステンダーと呼ばれる送受信機を導入すればミラーリングに相当する機能は手に入るが、解像度が「4K」となると選択肢は減ってしまう。送受信用の通信機は大柄なことが多く、むしろHDMIケーブルでつなぐほうがテレビの周囲はすっきりする、という事態も大いにありうる。

4K/HDMIのワイヤレス化というニーズは大きい。たとえば、ビデオレコーダー。壁掛けなどの手段でテレビ周りをすっきりさせたいとき、這い回るHDMIケーブルを省略できるメリットはほかに代えがたい。PCについても、HDMIケーブルの長さという物理的な問題から解放されるため、スプレッドシートなど解像度が必要な資料を使うプレゼンテーションでは大いに役立つはずだ。

今回取り上げる「JVAW75」は、そんな4K/HDMIのワイヤレス化を可能にする台湾・j5createの新製品。解像度は4K/30Hzと2K/60Hzに対応、HDCP 1.4をサポートするから著作権保護されたコンテンツも伝送できる。通信には2.4GHzと5GHzを使い、障害物のない空間であれば最大30mの伝送が可能という。

j5create「JVAW75」。写真左がレシーバー、右がトランスミッター

 

j5 create
ScreenCast JVAW75 [ホワイト]
価格.com最安価格 16,650円( 発売日:2023年10月27日 )
価格.comで見る

パッケージにはHDMI端子を備えた2台のそっくりなデバイスが同梱されており、片方が送信機/トランスミッターでもう片方が受信機/レシーバーとなる。トランスミッターをPCやビデオレコーダーなどHDMI出力端子を備えたデバイスに、レシーバーをテレビやプロジェクターなどHDMI入力端子を備えた映像機器に接続、それぞれに電源(USB-A)を接続すれば準備完了だ。

「JVAW75」の同梱品

電力設計にも配慮が見られる。必要とする電源は5V/1A、ポートはUSB-CだがUSB-C to Aケーブルが付属する。これはおそらくテレビやPCからの給電を容易にするためで、1Aというところも現実的だ(これ以上アンペア数が必要だとUSB ACアダプターからの給電が必要になる可能性大)。配線がシンプルになるのもうれしい。

テレビ裏のHDMIポートにぶら下げる形でレシーバーをセット。テレビのUSBポートから電源供給を行える

Macのデスクトップ画面を4K出力、キャストもOK

さっそく、アップル「MacBook Air(M1 2020)」のデスクトップ画面を4Kテレビにミラーリングすることにした。「MacBook Air」にはHDMIポートがないため、アップル純正の「USB-C Digital AV Multiportアダプタ(MUF82ZA/A)用意し、そこに「JVAW75」のトランスミッターを接続(電源は「MacBook Air」のUSB-Cポートを利用)、レシーバーを接続した4Kテレビにデスクトップを映そうという算段だ。

レシーバーとトランスミッターはペアリングした状態で出荷されているため、面倒なセットアップは不要。HDMIポートに差し込み電源ケーブルを接続、レシーバー/トランスミッター双方のLEDが点滅を停止するまで数秒ほど待つと準備完了、4Kテレビに「MacBook Air」のデスクトップ画面が表示された。

色味は特に違和感なく、圧縮ノイズや映像の乱れも感じられない。「MacBook Air」のディスプレイに映し出されている映像と同じものがごくわずかに、感覚的には数ミリ秒ほど遅れて表示される(テレビを並べると遅延がわかりやすい)ことを除けば、HDMIやUSB-C/DP Alt Modeによる有線接続と大差ない印象だ。4Kテレビと「MacBook Air」の距離を約2mと近距離でテストしたことも影響しているのだろうが、接続は安定し映像が途切れることもない。

しかし、システム環境設定のディスプレイ情報をよく見ると「1920×1080」の文字が。システムには解像度3840×2160/30Hzの52インチディスプレイと認識されているものの、実際の出力はフルHDで行われていたようだ。手動で4K解像度を選択したところ、文字が潰れてしまうなど解像感が低下してしまい、なかなか厳しい。音も出ないのでシステム環境設定の「サウンド」パネルを確認したところ、音量調整用スライダーはグレーアウト。音声出力にもなんらかの問題があるようだ。

「MacBook Air」には52インチ/3840x2160ピクセルの4Kディスプレイとして認識されている

次に、パナソニックの4Kブルーレイレコーダー「4Kディーガ DMR-4W200」で試したところ、地デジやBS 2Kの録画番組は難なくクリア。解像度、色味ともに有線接続のときと比較しても違和感なく、比較対象があるデュアルディスプレイではないから映像/音声の遅延も感じない。

とはいえ問題も。4Kコンテンツが2K/フルHDにダウンコンバートされてしまうのだ。「4Kディーガ DMR-4W200」のHDMI設定で出力解像度を「オート」から「4K固定」に変更すると、画面はブラックアウト。レシーバーとトランスミッターを近づけるなど通信面にも配慮したが改善せず、2K/フルHDで使うことに。レシーバー/トランスミッター間の通信に使う帯域を5GHzに変更してみても、事態は変わらなかった。

「4Kディーガ DMR-4W200」との接続を試してみたが、こちらも4Kディスプレイとして自動認識されなかった

トランスミッターを使わず、iPhone/Androidスマートフォンとレシーバーが直接通信するスクリーンキャスト機能も試してみた。レシーバー内蔵の無線LANアクセスポイント(SSIDとパスワードはテレビ画面に表示される)に接続し、Webブラウザーで「192.168.203.1」にアクセス、付近の無線LANに接続すれば準備完了。iPhoneで撮影した4Kムービーはスムーズに再生、音声出力も問題ないが、「MacBook Air」からディスプレイミラーリングしてみると、こちらも最大解像度が「1920×1080」に。レシーバーの最大解像度を4K/3840×2160に変更しても、「MacBook Air」が検出した解像度に変化はなかった。

レシーバー内蔵の無線LANアクセスポイントにiPhoneから接続したところ AirPlay/画面ミラーリングを利用できる

PCディスプレイのワイヤレス化に

 HDMIのワイヤレス化といえば、端末が大きく場所をとったり設定が面倒だったりという点で尻込みしがちだが、この「JVAW75」はレシーバーとトランスミッターがペアリングされた状態(手動ペアリングも可能)で出荷されているので設定不要、電源が5V/1Aなのでテレビの空きUSBポートから給電できる、という導入の容易さがうれしい。

画質は有線HDMIと比較すると、ワイヤレス通信に際して圧縮/展開を行っている影響で若干の遅延は避けられず、情報量という点でやや及ばない印象はあるが、ケーブルが必要ないことのメリットは大きい。だからテレビ/ブルーレイレコーダー間のワイヤレス化に使うより、PCディスプレイをワイヤレス化する道具として、奥まった場所にあり有線接続が厳しいプロジェクターの映像ソースとして役立てるほうが現実的だろう。スマートフォンからのキャスト/ミラーリングに対応することも、うれしいポイントだ。

惜しまれるのは、4Kソースが不安定なこと。「MacBook Air」から手動で4K出力に切り替えると小さな文字はにじんでしまうし、ブルーレイレコーダーから出力したときは自動的に4K映像と判定されなかった。j5createでは製品のファームウェアアップデートを高頻度で実施しているため、今後の対応に期待したい。

Tagged: